【トリビア】契約が無効にされた場合

印鑑・署名に関する事故
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契約書には署名または記名押印をしますが、署名(記名押印)をした契約書が無効にされた場合、どうすればよいでしょうか。
それでは確認していきましょう。

 

契約と契約書の関係

まず、契約とは、当事者の意思表示の合致によって成立する法律行為のことを言います。
そのため、原則として、口頭であってもお互いに納得の上で約束すれば、それだけで契約は成立したことになります。
したがって、契約書を作成しなければ契約自体が無効になる、というわけではありません。

もっとも、保証契約など、様式契約と呼ばれる一部の契約は、書面を作成しなければ契約自体が無効となります。
また、贈与契約など、書面の作成の有無によって契約の効力が異なる場合もあります。

 

契約書の効力

前述したように、契約書がなくても契約が無効になるわけではありません。
しかし、契約の相手方が任意に債務を履行しない場合に、契約責任を追求するためには、契約が有効であることを立証する必要があります。
そのためには、契約書という客観的証拠を作成しておくことが重要になります。

訴訟において、契約書を証拠として用いようとするものは、その文書が相手方の意思に基づいて作成されたことを証明する必要があります。
そして、通常は、契約書に署名または記名押印があれば、契約書が相手方の意思に基づいて作成されたと考えられるのです。

 

契約書が無効になる場合

署名がある契約書でも、当事者以外の第三者が権限なく勝手に署名(記名押印)した場合には、契約書は無効になります。
例えば、親族や同居者が勝手にはんこを持ち出して契約をしてしまう場合などが考えられます。

また、記名押印自体は問題なくなされた場合でも、後に権限なく文書に記載を付加する、内容自体を変更するなどしたことが判明した場合です。
当該文書は相手方の意思に基づいて作成されていないことになりますので、契約書は無効になります。(1枚の契約書であっても、契約の内容で2つにわけられる場合、その部分のみが無効になることもあります。)

 

契約書が無効にされた場合の対応

第三者が権限なく契約し、契約書を作成した場合など、契約そのものも無効である場合には、改めて契約を締結する事になります。
また、契約自体は有効である場合、相手方の契約責任を追求するには、証人、従前の同様の取引の存在(取引慣行)等、金銭・物品の授受等の各証拠により契約の有効性を立証することになります。
もっとも、契約書が無効である場合に契約の有効性を立証することは非常に困難ですので、目の前で相手方本人に署名(記名押印)してもらうなど、締結の際に出来る限り慎重に契約書を作成すべきでしょう。

 

まとめ

契約書が無効になったことにより、契約そのものも無効となる場合には、改めて契約を締結する事になります。
仮に、契約書が無効であっても契約そのものは有効であって、相手方が契約の有効性を争っている場合、契約書以外の証拠によって契約の有効性を立証することになります。