契約書などに収入印紙を貼ることがあります。
その際、貼られた収入印紙は消印を押すことになっています。
なぜ消印を押すのかご存知ですか?
なぜ、収入印紙を貼付するのか、なぜ、消印を押すのか確認していきましょう。
収入印紙について
切手のように紙に貼り付けて使用する収入印紙ですが、収入印紙を知らない人は切手と見間違っているかもしれません。
しかし、収入印紙と切手は全く別物です。
切手は郵便料金納付の証として郵便物に貼る証票です。
それに対して、収入印紙は印紙税を収めるための証票です。
印紙税とは、契約書や受取書等の証明のために課される税金のことです。
金銭の授受が発生する取引や契約にともなって作成される文書(契約書、受取書等)に収入印紙を貼ります。
なぜ、課税されるのかというと、金銭が授受される取引は課税される取引に値するからです。
印紙税額は契約内容や金銭等によって決まり、印紙税法別表に挙げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されています。
印紙税の納税義務者は誰?
印紙税の納税義務者は、課税文書の作成者とされています。
通常、取引は売り手と買い手、貸し手と借り手というように、二者以上が関わります。
したがって、印紙税の納税義務者は双方ということになります。
領収書のような受取書に関しては、金銭を受領した側が負担しているのが一般的になっていますが、実は印紙税法では納税義務者を定めているだけで誰が負担するかまでは定めていません。
印紙税の負担者は民法の規定に従っていますが、民法は基本的に「契約自由の原則」が前提となっています。
ということで、領収書等の受取書に貼る印紙の負担者は金銭の支払者、受領者のいずれでもよく、双方の話し合いで決めれば良いことになっています。
消印について
切手の消印は切手の再使用を防止するためです。
収入印紙の消印も同じで、収入印紙の再使用を防止することが目的で、収入印紙と文書とにまたがって押印します。
このことを消印といいます。
印紙税の納付は、契約書などの課税文書に所定額の収入印紙を貼付し、消印することによって行われます。
消印は、文書と印紙の彩紋(模様部分)とにまたがって、印紙を消さなければなりません。
印紙を消す方法は、文書の作成者または代理人、使用人その他の従業者の印章または署名によるものとされています。
消印は、文書に使用したはんこにかぎらず、日付印などのゴム印でも差し支えありません。
署名でも消印したことになりますが、署名で消印する時は、ボールペンなど簡単に消すことができない筆記具を使い、自筆で行います。
複数の人が共同で作成した文書に添付した収入印紙は、その作成者のうち誰か1人が消印すればよく、必ずしも全員で行う必要はありません。
収入印紙の貼付や消印がないと
所得税や法人税のように直接納税する形式と違い、印紙税は収入印紙を購入して、課税文書に貼付・消印することで納付したことになります。
印紙を貼り付けなければならない課税文書に、印紙を貼り付けないで交付してしまうと、納税義務者である課税文書の作成者は印紙税を納付しなかったということになります。
その際は、罰金として収入印紙額の3倍(自主的に申し出た場合は1.1倍)の過怠税が課されてしまいます。
また、消印忘れの場合は3倍ではなく収入印紙と同額の過怠税になります。
印紙税は課税文書に課される税金ですので、最近は印紙税が課されない電子化された契約書を交わすケースが増えつつあります。
それでもまだまだ文書で交わすケースは多く、それに伴い過怠税の納付もあとを絶ちません。
過怠税は法人税法上「損金」とはなりませんので、無駄な納税をしないよう、印紙の貼付・消印漏れがないように努めましょう。
まとめ
一定金額以上の契約書や受取書は印紙税の課税文書となり、収入印紙を貼付する必要があります。
消印は、再使用を防止する目的で、収入印紙を貼付した課税文書に押印します。