電子証明書を利用することでなりすましなどを防ぐことが出来ますが、電子証明書を取得するにはどうすればよいのでしょうか。
また、どのようにして利用すればよいのでしょうか。
それでは、確認していきましょう。
手続きが簡単に
インターネットの普及に伴い、様々な行政手続などがインターネットを通じて手軽にできるようになりました。
自宅や職場のパソコンからインターネットを利用して24時間行政機関等への手続きを行うことができ、窓口へ行く手間が省けます。
公的個人認証サービス
公的個人認証サービスは、「なりすまし」や「改ざん」を防止し、インターネットを通じて安全・確実な行政手続を行うための機能を電子証明書という形で提供しています。
現在、国や地方自治体による公的個人認証サービスの対象手続きは下の表の通りです。
電子証明書は、市区町村の窓口で取得でき、住民基本台帳カード(住基カード)内に記録されます。
公的個人認証サービス |
・e-Tax(国税電子申告・納税システム) ・eLtax(地方税電子申告) ・社会保険・労働保険関係手続き(電子政府の総合窓口(e-Gov)) ・不動産登記、商業・法人登記など各種登記のオンライン申請 ・印鑑証明書のオンライン請求 ・パスポートの申請(外務省) ・自動車保有関係手続きのワンストップサービス ・特許のインターネット出願 ・国民年金および厚生年金の年金加入状況・年金見込額の提供(日本年金機構) ・住民票の写しほ交付請求、納税証明書の交付申請など(地方公共団体) |
電子証明書の入手から電子申請・申告までの流れは次のとおりです。
①住基カードの取得
公的個人認証サービスの利用を希望する人は、住民票のある市区町村の窓口で住基カードを取得します。
住基カード作成に関する基本事項 |
必要なもの ・交付申請書(窓口にあります) ・写真(写真付きを希望する人) ・運転免許証などの公的証明書(市区町村により複数の証明書が必要になります) ・印鑑 費用 ・500円程度(市区町村によって異なります) 有効期間 ・10年 |
②電子証明書の取得
市区町村の窓口で電子証明書の新規発行申請を行い、窓口に設置されている装置を使って秘密鍵と公開鍵(鍵ペア)を生成し、電子証明書の提供を受けます。(鍵ペアは、住基カードの中に記録されます。)
電子証明書は、利用者の公開鍵が確かにその本人の鍵であることを証明するために、都道府県知事が発行します。
インターネット上で電子申請等を行う際に、秘密鍵で暗号化された電子署名単独では申請が本人のものであるか確認できないので、電子証明書と電子署名を同時に送信することによりデータの申請者を証明することが出来ます。
電子証明書取得の必要事項 |
必要なもの ・発行申請書(窓口にあります) ・住民基本台帳カード ・運転免許証などの公的証明書 費用 ・500円 有効期間 ・3年間 |
③ICカードリーダライタの準備
住基カードに記録された情報を読み取るためのICカードリーダライタを購入し、ドライバインストールなどの設定を行います。
④パソコンのセットアップ
インターネットに接続されたパソコンに、公的個人認証サービス利用者クライアントソフトウエアをインストールします。
⑤電子申請・申告
それぞれの機関で電子申請・届け出を行います。(申請先の行政機関によっては、追加のソフトウエアなどが必要になる場合があります)
なお、秘密鍵を記録しているICカード(住基カード)とパスワードは非常に重要です。
秘密鍵の漏洩、滅失または既存の防止その他秘密鍵の適切な管理をするとともに、住基カードは、安全に管理するようにします。
また、設定したパスワードは定期的に変更及び安全に管理する必要があります。
登記所が発行する会社・法人の電子証明書
商業登記に基づく電子認証制度は、登記所が管理する登記情報に基づき、会社・法人の代表者等に対して、法務省が運営する「商業登記認証局」が電子証明書を発行する制度です。
発行された電子証明書は、オンラインによる申請・届出や電子商取引など、電子文書を作成して相手方に渡す際に使用されるものです。
この電子証明書により、相手方は、その電子文書の作成者が誰であるのかを確認することができるとともに、その電子文書が改ざんされていないことを確認することができます。
電子証明書は、会社・法人の本店または主たる事務所の所在地を管轄している登記所(法務局)に電子証明書の発行申請をすることにより取得することができます。
商業登記に基づく電子認証制度の電子証明書は、3ヶ月から27ヶ月までの間で、証明期間(有効期間)を選択することができます。
電子証明書の発行を申請するためには、電子証明書の証明期間に応じた手数料を納付する必要があります。
この手数料は、申請時に「収入印紙」または「登記印紙」を申請書に貼って納付します。
電子証明書の作成費用 | |||||||||
証明期間 | 3ヶ月 | 6ヶ月 | 9ヶ月 | 12ヶ月 | 15ヶ月 | 18ヶ月 | 21ヶ月 | 24ヶ月 | 27ヶ月 |
発行手数料 | 2,500円 | 4,300円 | 6,100円 | 7,900円 | 9,700円 | 11,500円 | 13,300円 | 15,100円 | 16,900円 |
電子証明書の発行機関としては、政府共用認証局(官職認証局)や公的個人認証サービス、商業登記認証局のほかに、地方公共団体組織認証基盤(LGPKI)、日本税理士会連合会電子認証局、帝国データバンク、日本電子認証、NTTネオメイト、セコムトラストシステムズ、ジャパンネットなどがあります。
まとめ
現在、公的機関や民間事業者によって電子証明書の発行が行われており、電子証明書の取得方法や費用は発行機関によって異なります。