我が国では、通常、署名に加えて押印をします。
自筆証書遺言など法令によって押印が要件とされる場合などを除いて、法的には署名があれば本人の意思(文書の表示意思)を表すものとして十分です。
しかし、署名に加えて、重ねて押印を行うことで、その意志を確認することが広く行われています。
一方、海外においては、一般に署名(サイン)のみで本人の意志を表し、日本のように署名に加えて押印を行うことは、まずないようです。
では、日本人(法人)が海外の人(法人)との契約に際して、署名に加えて押印を行った場合、法的にはどのように扱われるのでしょうか。
押印のために、当該契約書面の法的効力が影響を受けることはないのでしょうか。
この点、海外において一般に押印を行わないのは、署名さえあれば筆跡鑑定によって他人の偽造をほぼ防止できるからです。
本人の意志を証するには十分であり、これに加えて、押印による本人の意志(文章の表意意思)の確認は不要であるためです。
つまり、押印は不要ということであって、不可とうい理由ではないのです。
したがって、日本人が海外の人との契約に際して、署名に加えて、押印を行ったとしても、無害(法的効力に特段の影響はない)ということです。