文書に署名や記名押印をする際、日付も合わせて記入することが多いと思います。
なぜ、署名(記名押印)した文書に日付を書くのでしょうか。
それでは、確認していきましょう。
確定日付とは
確定日付とは、変更のできない確定した日付のことであり、その日にその証書(文書)が存在していたことを証明するものです。
文書には、契約書や通知文書など様々な書面がありますが、いろいろな動機でその作成期日を遡らせることがあり、重要な書面であればあるほど、紛争になる可能性があります。
確定日付を付すると、それが付された時点で、その文書が確かに存在していたことが証明できますので、紛争の解決に役立ちます。
また、指名債権の債権譲渡の場合、確定日付のある通知、確定日付のある承諾がなければ債権者以外の第三者に対抗できないとの民法467条の規定があります。
したがって、売掛債権などの金銭債権を譲渡する場合、譲渡担保権の設定契約を行う場合などには、確実な権利取得のために確定日付を取ります。
確定日付の種類と利用
確定日付となるものは、民法施工法5条に6種類が定められています。
このうち、契約書などの私文書については、公証役場において日付のある印章の押印を受けることで、その印章の日付を確定日付とします。
債権譲渡の場合は、その通知を内容証明郵便で送付すれば、郵便認証司が証明をしたときに押す印章の日付が確定日付となります。
また、債権譲渡の承諾を書面で受けた時は、公証人役場において日付ある印章の押印を受けることで、その印章の日付を確定日付とします。
確定日付を受けることができる文書
公証人が付する確定日付、官公署が付する確定日付については、一定の制限があります。
まず、確定日付を付することのできる文書は、「私文書」に限られています。
その私文書は、文字その他の記号により、意見、観念または思想的意味を表示しているものであることが必要です。
さらに、作成者の署名または記名押印のあるものでなければなりません。
したがって、図面や写真、文書のコピー自体には確定日付を付することができません。
しかし、コピー文書上に写しを作成した旨付記するか、または、同様の説明文言を表示する証書を添付するなどして割印をすれば、それらの説明文書に確定日付を付与することができます。
公証人の確定日付が活用できる書面としては、以下があります。
- 時効を中断する場合の承認した旨の書面への確定日付
- 債権譲渡を承諾した旨の書面への確定日付
- 指名債権を目的とする質権の設定における確定日付
(たとえば、定期預金払い戻し請求権、敷金返還請求権、火災保険金請求権などに質権の設定をするときなど) - ある書面がその日に存在した旨を証明するための確定日付
なお、内容の違法な文書、無効な法律行為を記載した文書であることが明らかなものは、確定日付を付与することはできません。
空欄があるなど、後日の記入を前提とするような形式上未完成な文書は、そのままでは確定日付を付与することはできません。
まとめ
確定日付を得ることで、その契約書などの文書が確実にその日に存在したことを証明することにより、紛争を予防し、権利を確定することができるようになります。