代理人が本人に代わって申請などの手続きを行う場合には、委任状が必要となります。
委任状は、実印を押印しなければ無効になるというと言うのは本当でしょうか。
それでは、確認していきましょう。
委任状
委任状とは、代理人が本人に代わって一定の法律行為、または事実行為を行う権限を委任したことを証明する書面です。
委任状が必要なケースは様々ですが、代理人として弁護士及び弁護士法人、司法書士及び司法書士法人に委任するケースが多いと思われます。
また、利用されるケースとしては、以下があります。
- 登記申請に関して、登記義務者が司法書士等に交付する場合
- 訴訟関係業務に関し弁護士等、司法書士等に交付する場合
- 登記事項や行政関係書類の交付を受けるために親族等に渡す場合
押印は必要か
委任行為は、特に様式が定められていません。
その為、口頭でも行うことができます。
つまり、誰にどのような権限を与えて、自分の代わりに行動してもらうかを相手方に告げた場合、相手方は、代理人を本人と同様に扱って契約や事実行為を行うことができます。
しかし、口頭では、あとで不都合な事態が生じた場合に、そのような権限を代理人に与えたことはなかったとして、代理人の権限をめぐる紛争が考えられる為、取引の安全性を欠く恐れがあります。
したがって、書面で代理人に委任する内容を明確にするために、委任状が作成されるのです。
委任状には、署名があれば押印は不要ですが、記名の場合は押印が必要です。
印は、認印でも、実印でも効力に差はありません。
実印は必要か
実印の使用を委任状に求めるケースでは、実印であることを確認するために、印鑑登録証明書(印鑑証明書)を添付する事になります。
実印と印鑑登録証明書が必要な委任状には、先に上げた不動産の所有権移転、抵当権設定などの登記を登記義務者として行うケースで司法書士等に委任する場合、商業登記について司法書士等に委任する場合があります。
登記簿には、公示機能がありますので、本人特定や意思確認を兼ねて正確を期するためです。
また、公正証書を作成する場合の委任状のように、債務名義となったり、重要な事実を記録する場合には、正確を期すため実印を押した委任状と印鑑登録証明書(印鑑証明書)が必要となります。
まとめ
登記のためなど委任状の種類により、実印の使用および印鑑登録証明書の添付が必要な場合があります。
しかし、原則は、本人が委任したことを証明できるものであれば、実印でなくても有効です。